2016年1月 2日 (土)

糖質制限の真実

糖質制限の真実
日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて

山田悟/著
幻冬舎新書/2015

糖尿病専門医の著者が最新の医学研究の成果から提唱する、緩やかな糖質制限食「ロカボ」のすすめ。

最近、糖質制限の本がいっぱい出ていて何冊か読んだけど、極端に走っている印象があった。
そんな中、この本は専門医が書いていることもあって、信頼がおける印象を受ける。

日本人の三大死因(ガン、心臓病、脳卒中)の根っこに血糖異常があり、それは生活習慣によって引き起こされます。
血糖異常者は、実に日本人の6人に1人の割合だそうです。
従来、糖尿病患者などに指導されていたのはカロリー制限。
しかし、最新の栄養学によるとカロリー制限は意味がなく、血糖値異常を防ぐのに有効なのは、糖質のコントロールのみ。
これにより糖質制限食が登場するのですが、極端な糖質制限は危険性が伴うというのが著者のスタンス。
そこで提唱するのがロカボ(ローカーボ ハイドレート)食である。

これは、糖質を一食20~40グラム、間食一日10グラム、トータル一日の糖質摂取量70~130グラムにしましょう、というもの。
普通の糖質制限と違うのは、下限を設けることで、極端な低糖質状態になることを避けていること。
この量は、ご飯半膳(70グラム)くらいだそうです。
糖質だけ気をつければ、肉・魚・野菜は好きなだけOK。
試す価値はあるかも。

なお、本筋の話では無いですが大変参考になった話題を一つ。
巷に溢れる情報の見極め方。
それは、エビデンス(科学的根拠)とそのレベルを確認すること。

エビデンスレベル1が無作為比較試験。
研究対象者を2つのグループに分け、同じ条件の下、異なる治療法を行い、その効果を検証したもの。
エビデンスレベル2が観察研究。
病気を発症する原因に近づいた集団と近づいていない集団を追跡し、発症率を比較するもの。
エビデンスレベル3が症例対照研究。
「ある患者にはこういう現象がありました。その現象は健康な人とはこういう点で違います」という比較研究。
原因と発症の因果関係まではつかめない。
エビデンスレベル4が症例報告。
「臨床現場でこんな症例がありましたよ」という単純報告。
その下のレベルのものとして、
専門家の意見、コンセンサス、動物実験、細胞実験など。

本を読むときに、その本はどのレベルか、それに対する反論はどのレベルからなされているか。
医学に関わる本のみならず、いろんな所に使えそう。
新しい物差しを手に入れた気分である。

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2015年12月30日 (水)

民主主義ってなんだ?

Sealds2015 民主主義ってなんだ?

高橋源一郎×SEALDs/著
河出書房新社/2015

高橋源一郎とSEALDsのメンバーとの対談。
第一部ではSEALDsの成り立ち、第二部で民主主義について考えを深めている。

日本が悪い方向に進もうとしている中、SEALDsは数少ない希望だ。
彼らが何を考えているのか。
デモでも何度も連呼される「民主主義ってなんだ?」
かつて学生運動をやっていた高橋源一郎と民主主義について議論を行っている。

民主主義の起源をたどると、二千五百年前の古代ギリシャ、アテナイの民主制にぶつかる。
これは徹底した直接民主主義で、最高決定機関の民会が全権をもっていて全てを決める。
有権者である成人男子がプニュクスの丘に上ってきて、めいめい岩の上で意見を言う。
そして、バカな意見を言った人は排除される。
また、基本法があり、それに反した意見を提出した人は裁判にかけられ、最高で死刑になる。
法案を出すのも命がけ。
すごいなあ。

この他にも、いろんな民主制があった。

さて、現代日本。
間接民主主義が当たり前とみんな思っているけど、制度疲労を起こしている。
政治的無関心も、間接民主主義がその要因になっていることは間違いない。
独裁者も民主主義の中からでてくる。

SEALDsは、その状況に風穴を空けようとしている。

もう一度、みんなで民主主義について考えてみよう。

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2015年12月29日 (火)

気仙沼ニッティング物語 いいものを編む会社

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気仙沼ニッティング物語
いいものを編む会社

御手洗珠子/著
新潮社/2015

ブータンの初代首相フェローとして、観光産業発展に成果を上げた著書が、震災を機に帰国し、被災した気仙沼で編み物の会社を立ち上げる奮闘記。
著者は、まだ20代の女性、気仙沼出身でも編み物が得意なわけでもない。
ほぼ日のプロジェクトとして始まり、編み手募集、商品づくり、会社設立はてんやわんやで進んでいく。

何故、気仙沼なのか?
編み物の会社なんて成立するのか?
様々な疑問が去来しますが、地方だからこそできることがある。
インターネットの普及により、今までのデメリットはほぼ解消されつつあるし、
人々の濃厚なつながりや良い環境は地方でこそのメリットである。

あるとき、雑誌の取材があった。
編み手へのインタビュー、
「気仙沼ニッティングの仕事に望むことはなんですか?」
編み手さんは、こう答えました。
「ずっと、この仕事を続けていたいです。」

著者は、この答えに驚き深く考えさせられます。
そして、この会社を100年続く会社にしたいと思います。

ここに重要な視点がある。
話しは変わるが、天栄村湯本の温泉宿の女将の言葉が重なる。
大学教授の新妻先生が湯本でイベントを企画し、お客が大勢泊まったときのこと。
女将曰く、
「先生、あんまりいっぱい来られても困るんだよね。」
「どうして、儲かっていいじゃない。」
「うちは事業じゃなく、家業でやってるんだ。」
新妻先生は深く感じ入りました。

資本主義経済、そして経済のグローバル化は、大量生産大量消費でモノをあふれさせ、生活は豊かになった。
でも、みんな幸せになったのか?
あらゆるモノ、サービスは製品として提供され買うものになり、その製造過程はブラックボックスになった。
仕事では効率化を求められ、ストレスが多くなった。

気仙沼ニッティングの仕事は、編み手のペースで進んでいく。
ある人は介護の合間に、ある人は子育てをしながら。
効率を求める会社では、こうはいかないだろう。

地方で仕事を続けていくこと。
地方で生きていくこと。
いろんな示唆を与えてくれる本である。

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2015年3月 8日 (日)

佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和/著
日経ビジネス人文庫/2011

前に読んだ本(「銃・病原菌・鉄」)が読むのに体力を要する本だったので、軽く読める本ということで、手に取った本です。

佐藤可士和は、ユニクロのデザインなどを手掛ける、売れっ子アートディレクター。
本の題名から、片づけに関する本かな、と読み始めましたが、佐藤可士和の仕事術と言っても良いような中身でした。

整理することが、問題解決にもつながる。
デザインという仕事は、相手の持っている情報を整理して並べ替えて重要なものをピックアップする仕事のようです。
なるほどなあ。

著者は、整理術を3段階に分け、「空間」の整理術、「情報」の整理術、「思考」の整理術について説明している。

よし、取りあえず机の上から整理しようっと。

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2015年3月 1日 (日)

銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄

ジャレド・ダイアモンド/著
倉骨彰/訳
草思社文庫/2012

人類史において遅れて発達したヨーロッパ人が、その後世界の殆どを掌握していく。
それは、決して平和的に行われたものではない。
そして、その際に決定的な役割を果たしたのは、銃・病原菌・鉄であった。
では、何故それらをヨーロッパ人は他の大陸の人類に先んじて手に入れることになったのか?

本書は、人類史13000年の謎に迫る大著である。
自然科学系の学者である著者は、最新の研究成果を縦横に取り入れながら、考察を進めていく。
著者は、人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、その環境が違ったからだ、と結論づける。
その要因となるのは、主に以下の4つ。
栽培化や家畜化の候補となりうる動植物の分布状況の差、
大陸の陸塊の地理的な形状の差、
大陸の地理的な孤立状況、
大陸の大きさや総人口の違い、
である。

読みながら、興奮を禁じ得ない知的冒険の書である。

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2014年12月11日 (木)

デフレの正体/地方消滅

デフレの正体-経済は「人口の波」で動く
藻谷浩介/著
角川oneテーマ21/2010

地方消滅
増田寛也/編著
中公新書/2014

新書一気に2冊紹介。
1冊目「デフレの正体」。
藻谷氏は、人口の絶対数に注目し、
「経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」
と指摘します。
生産年齢人口が減っていく中、経済が縮小していくことは避けられない。
今後、出生率をいくら増加させようと、子どもの数は増えない(出産適齢期の若年女性人口が減っているから)。
超高齢化社会が加速度的に進む。

読んでいて、気が滅入る部分もありますが、これまでの経済動向を人口の波できれいに説明していて、目から鱗が落ちます。
これから日本が目指すべき方向も提言しており、大変参考になる本。

さて、2冊目「地方消滅」。
「中央公論」に掲載された増田レポートが大きな波紋を呼んだ。
このままでは、896の市町村が消えてしまうという。
人口の波を市町村別に詳細に検討したものだ。
人口減少は、均一に進むわけではなく、市町村によって違う。
残念ながら、福島県は調査対象外となっている。
しかし、ここで示されたデータと考え方は県内市町村にも十分使える。

この2冊は、未来を占い、処方箋を立てるため読むべき本である。

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2014年11月 3日 (月)

ワーク・シフト

ワーク・シフト
孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>

リンダ・グラットン/著
池村千秋/訳
プレジデント社/2012

未来の社会の働き方は、どうなるのだろう?
少なくとも、今と同じではなさそうである。

本書は、その疑問に答えようと、2025年の具体的な未来図を予想した。
主に2種類の未来が描かれている。
「漠然と迎える未来」には孤独と貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

後者の未来を迎えるために、本書では働き方の<シフト(転換)>を提案している。
<第一のシフト>
終身雇用制が崩壊したあとは、専門性を持った人材が必要とされる。
一つの企業の中でしか通用しない技能に満足せず、高度な専門技能を磨き、自分を差別化するための「自分ブランド」を築くこと。
<第二のシフト>
グローバルなネットワークが広がっている。
難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、イノベーションの源泉となるバラエティに富んだ大勢の知り合いのネットワーク、そしてストレスを和らげるための打算のない友人関係という、三種類の人的ネットワークをはぐくむこと。
<第三のシフト>
大量消費主義を脱却し、家庭や趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること。

難儀だなあ。

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2014年10月18日 (土)

投資家が「お金」よりも大切にしていること

投資家が「お金」よりも大切にしていること

藤野英人/著
星海社新書/2013

ファンドマネージャーである著者は、指摘する。
日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目。
ちょっとムッとするが、頷ける点も多い。
また、日本人はお金に対してネガティブなイメージを抱きがちだが、お金について何も考えていない、という。
本書では、お金、仕事、会社について分かりやすく解説している。
そして、日本の将来を明るいものにしよう、と読者に訴える。
お金や投資に関するイメージが変わり、読後が爽やかな本。

若い人にお勧め。


関連サイト
ほぼ日刊イトイ新聞
どうして投資をするんだろう 藤野英人×糸井重里

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2014年10月 5日 (日)

国家の暴走

国家の暴走 安倍政権の世論操作術
古賀茂明/著
角川oneテーマ21/2014

安倍政権の暴走が止まらない。
元経産省官僚の著者は、安倍政権は列強国の仲間入りを果たすために13本の矢を用意している、と指摘している。
その13本の矢とは、
①日本版NSC法、②特定秘密保護法、③武器輸出三原則の廃止、④集団的自衛権の行使容認、⑤「産めよ増やせよ」政策、⑥集団的安全保障での武力行使の容認、⑦日本版CIAの創設、⑧ODAの軍事利用、⑨国防軍の保持、⑩軍法会議の設置、⑪基本的人権の制限、⑫徴兵制の導入、⑬核武装。

安倍政権の目指す未来は、とても私には容認できない。
既に放たれた矢も多いが、残りの矢を阻止しなくてはならない。
そのためにも、本書を多くの人に読んでほしい。

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2014年8月10日 (日)

学年ビリのギャルが(以下略)

学年ビリのギャルが
1年で偏差値を40上げて
慶應大学に現役合格した話

坪井信貴/著
㈱KADOKAWA/2013

書店にずっと並んでいたので、気になってついぞ買ってしまった。
軽い気持ちで読み進めたのだが、実に素晴らしい内容であった。

学年ビリのギャルさやかちゃん。
彼女が著者の塾をたずねるところから物語は始まります。
彼女の話を面白がりながら聞く著者、彼女に「志望校どうする? 慶應はどう?」と訊きます。
「さやかが慶應、超ウケる。」
ここから、さやかちゃんと著者の努力の日々が始まります。

さやかちゃんの頓珍漢な受け答えに大笑いしながら読み進めましたが、本書には高校科目の学習方法、コーチングの仕方など学ぶ点が沢山。
すごく勉強になりました。

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