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2020年7月22日 (水)

「雑」の思想

「雑」の思想
世界の複雑さを愛するために

高橋源一郎+辻信一/編
大月書店/2018

私の好きな二人、高橋さんと辻さんによる共同研究。
テーマは「雑」。
昨今の世界は、グローバリズムだの、効率化だの、ものごとを単純化していこうとする方向に向かっている。
「雑」は、それに対する異議申し立て。
世界の複雑さを複雑なまま理解しよう、という取り組み。
それは、森羅万象、身の回りのことから政治経済まであらゆる分野に及ぶ。

そうだよな。
単純化しようとすると、どうしても歪みが生じるよな。
偏見を持たずにまっさらな目でものごとを見れるように心がけたいものである。

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ワイルドサイドをほっつき歩け

ワイルドサイドをほっつき歩け
ハマータウンのおっさんたち

ブレイディみかこ/著
筑摩書房/2020

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の
ブレイディみかこ氏の新著の主人公は、おっさんたち。
イギリス労働者階級のおっさんたちの物語。
おっさんたちを描きながら、
イギリスの社会的背景も克明に描かれる。
ミクロとマクロを行ったり来たりするのが、実にうまい。
ワイルドで頑固でEU離脱に投票して、
若者たちの反発をくらってたりするけど、
でも、みんな愛すべきおっさんたちなのだ。
おっさんたち、最高!
ブレイディ氏の眼差しは、とても温かい。

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2020年7月12日 (日)

薪を焚く


薪を焚く
ラーシュ・ミッティング/著
朝田千惠/訳
晶文社/2019

昨年出版された本ですが、最近読了しました。
名著です。
薪に関するあらゆることが深く、愛情たっぷりに記されています。
読み物としても秀逸ですが、実用書としてもとても役立ちます。
薪びとの皆さん、ぜひ御一読を。

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2020年7月 5日 (日)

国運の分岐点

国運の分岐点
中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか

デービッド・アトキンソン/著
講談社+α新書/2019

GDP世界第3位の日本。
でも、生産性(一人あたりのGDP)は28位。
1990年には9位だったのに、どんどん下がり続けて先進国最低となっています。
日本は、先進国の中で唯一経済成長していない。
また、デフレからいつまでも脱却できない。
給料は下げり続ける。
みんな、貧困にあえいでいます。
一体何故?

この20年、様々な金融政策がとられましたが、一向に解決していません。
日本は人口減少の局面に入っています。
これまで、人類は人口増が当たり前で、人口減少を経験していません。
これまでの経済学も、人口増が前提となっているため、通用しなくなっているのです。
生産性28位の日本より低い主要な国は、韓国、スペイン、イタリアなど。
みんな、少子化が進んでいる国です。

少子化が進むと、当然一人あたりの社会的費用の負担額は大きくなる。
それを支えるには、生産性を向上させないと社会がもたない。
「賃上げ」が必要なのだ。

しかし、日本にはそれを阻む大きな要因がある。
中小企業が多すぎるのだ。
一般的に、企業の規模が小さいほど生産性が小さい。
こうなったのは、1964年、OECD加盟がきっかけとなっている。
資本の自由化が始まったとき、植民地支配の恐怖から、中小企業を手厚く保護する護送船団方式を取った。
これにより、中小企業は爆発的に増加。
戦後、増え続ける労働者の受け皿となった。

でも、今は人口減少社会。
1964体制は、足かせとなっている。

また、日本には特有のリスク「地震」がある。
南海トラフ・首都直下型地震は、必ず起こる。
大きな災害は、社会が抱える諸問題を一気に最悪の形で顕在化させる。
最悪のシナリオは、地震が起きてボロボロになった日本を中国が買いまくり、日本は中国の属国になる。

一刻の猶予もない。
日本政府は、1964体制に決別し、最低賃金をすぐに引き上げるべきだ。

というのが著者の主張。
中小企業は好きだけど、著者の分析は腑に落ちる。
シングルマザーや非正規雇用、昔よりみんな貧乏になっていると感じる。
最低賃金引き上げは、すぐにやって欲しいなあ。


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