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2013年2月22日 (金)

会津自然エネルギー機構

社団法人会津自然エネルギー機構設立記念
会津の未来を切り拓くセミナー
「世界のエネルギー事情と会津の役割」

雪で足元の悪い中、約200名が集まり標記セミナーが開催された。主催団体である社団法人会津自然エネルギー機構は、原子力に依存しない社会づくりを目指す市民団体で、この日発足した。セミナーは、末吉氏による基調講演、顧問である赤坂憲雄氏と末吉氏、飯田哲也氏による特別対談が行われた。会場の熱気が伝わるセミナーとなった。

●開催期日 平成25年2月20日(水)18:30~20:30
●開催場所 会津稽古堂1階ホール(会津若松市)
●主催 会津電力構想会議 社団法人「会津自然エネルギー機構」
●第1部 基調講演 
講師 末吉竹二郎氏
(国連環境計画(UNEP)金融イニシアチブ(FI)特別顧問)

(※遅れて入場したので、冒頭部は聞きのがしました)

・「私たちのお金を使わないで」
2000年に始まったRAN(Rainforest Action Network)は、若い女性たちが始めた運動だが、環境破壊につながる投資は止めよう、と預金者の立場から銀行に訴えた。2004年までに、シティグループ、アメリカ銀行、ゴールドマンサックスなどの大手が次々とそれに応じた。大手が変わったことで、その流れは決定的なものとなった。

・「セリーズ(CERES)のパワー」
1989年、アラスカ沖で発生したバルディーズ号原油流出事故を契機に投資専門家と環境保護団体によりセリーズ(CERES:Coalition for Environmentally Responsible Economies)が結成された。
<セリーズ原則> 世界で初めて環境問題に関する企業が遵守すべき事項を定め、企業に対して自発的に環境保護に取り組むよう求めた。
<米証券取引委員会(SEC)へ圧力> 財務情報だけでは適切な判断ができないとして、SECに圧力をかけた。2010年、SECは世界で初めて「気候変動」関連情報を開示した。

・「原油より自然」
エクアドルのヤスニ国立公園、アマゾン上流の熱帯雨林の地下に膨大な原油が確認された(8.46億バレル、72億ドル相当)。政府は開発推進を考えたが、国際世論が反発。エクアドル大統領は、72億ドルの半分ずつを負担しよう、と提案した。国際基金が設立され寄付金が集まっている。

・「グラッセルのマクドナルド」
欧州のマクドナルドの商品には「MSC」マークがついている。このマークは、持続可能な方法で魚を捕っていますよ、という証明である。ロシアのマックでは、自国産の魚(乱獲のおそれ)を使用してない商品が売られている。
また、シャングリラやペニンシュラといった世界的なホテルでは、フカヒレスープを出さないことなった。フカヒレはサメを捕ってヒレだけ切り取り、残りは海に捨てる、若しくは船上で切り取ってそのまま放すなど、残酷な扱いが問題視されていた。
これらの動きは、グリーン消費者へ配慮したものである。

・「自然資本宣言」
2012年6月、Rio+20において、世界の金融機関が署名。世界の自然資源が壊れ始めたことを懸念し、グリーン経済へ移行を謳った。 金融機関は、その商品・サービスの中に自然資本の価値を取り込まねばならないとしている。

・「プーマの英断」
2010年、スポーツメーカーのプーマ(PUMA)社は、世界初の「環境損益計算書(E-P/L)」を発表した。それによると、売り上げ約3000億円、純利益220億円、環境PL160億円となっている。環境PLは、企業活動によって生じる環境負荷を金額に換算したもの。

・「爆発する自然エネルギー」
かつて、太陽光発電では1位を誇っていた日本だが、今では大きく立ち後れている。風力、太陽光、バイオマスなどの自然エネルギーの分野で、現在トップは中国、次いで欧州諸国が続いている。日本が立ち後れた中、国際的には、これらの分野の増加は加速している。

・「クリーンエネで蘇った島」
1970年代の石油ショックで原発をめぐる議論が交わされたデンマークにおいて、自然エネルギーを選択したサムソ島。今では風力を中心に、太陽光、太陽熱、バイオマスなどで100%自給し、島外へも販売している。これらの事業所への出資は島民が中心となっている。

・「みんなで歩こう」
パリ市長が、2000~2020年で車の移動を40%減らそうと呼びかけた。まずは歩く。次いで自転車、公共交通機関、電気自動車。パリでは、レンタル自転車や電気自動車のシェアリングなどの導入が進んでいる。

・「ストラスブルグ(仏)の路面電車」
かつての重工業地帯ストラスブルグは、学問・文化の街を志向。良い研究者を呼ぶには、その奥さん子どもが住みたくなる街にする必要があるとして、街づくりを行っている。路面電車を導入し、街中心部には車を入れないようにしている。

・「連邦がだめなら市で」
シアトル市長の呼びかけにより「米国市長気候保護協定」が締結され、全米から1000を超える市が参加した。地球温暖化対策に取り組まない連邦に対し、市として独自に取り組む姿勢を示したもの。

・「21世紀金融行動原則」
2011年10月、184機関が署名し、標記原則が定められた。持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則を定めたもの。私が委員長を務めまとめたものだが、ゼロから議論を行った。3.11以後、議論は全く違ったものとなり、10月にまとめられた。これにより、様々な取り組みが始まっている。
<滋賀銀行> 「カーボンニュートラルローン 未来よし」が始まり、琵琶湖の環境保全活動への出資などを行っている。
<大和証券グループ> 貧困環境などの社会的課題の解決を目指す新しい投資スタイルとして「ワクチン債」を始めた。

・「日本人の弱点」
日本社会は、「外圧」と「人柱」でしか変わらないと言われている。
畑村洋太郎教授は、日本人の視野が狭くなったと指摘。 その特徴として、①考えない、②思い込む、③黙る、を挙げている。
今こそ、そもそも論(Why)が必要。会津だけじゃなく、世界を見て行動してほしい。

・「倫理で考える」
<ドイツ・倫理委員会> 脱原発を決めた独・倫理委員会には、カソリックとプロテスタントの大僧正が参加している。リスクの高いエネルギーソースとリスクの低いエネルギーソースの選択肢がある場合、どちらを選ぶのか? 原発を選んだ場合、ドイツ文明はどのようになっていくのか、が議論された。これは倫理の問題である。夏場の電力需要をどうするか、の議論とは彼我の差を感じる。
<英・キャメロン首相>「グリーン産業の選択は未来世代への倫理の問題だ。」
<米・オバマ大統領>「グリーン産業への転換を進めないことは、未来世代への裏切り行為だ。」

 
倫理は習慣でなければならない。複数の選択肢があるからこそ、倫理が必要である。

●第2部 特別対談 
赤坂憲雄氏(県立博物館長)、末吉竹二郎氏、飯田哲也氏(ISEP環境エネルギー政策研究所所長)

赤坂)自分たちの社会をどうデザインできるか、ということで機構を立ち上げたが、元々、僕自身はエネルギーに関心が無かった。
しかし、3.11を受けて、この傷ついた福島をどうやったらひっくりかえせるか、必死に考えた。その中で、自然エネルギー特区にする、という発想が生まれ、4月30日の政府の委員会で提案した。唐突な印象を持たれた委員も多い。原発の災害を越えて新しい提案ができれば、世界へアピールできる。新しいモデルがつくれる。
5~6月、福島県は脱原発を選択した。倫理的な選択である。福島は、脱原発に向かって歩き始めた。もし、福島が原発に戻ったら世界は見放すであろう。
自然エネルギーというが、自然エネルギー自体が正義の訳ではない。各地でメガソーラーやメガ風力の話がある。しかし、「メガ」が付くと、原発と同じ構図が見えてくる。
子どもたちの未来のために何を選択すべきか? 将来の世代に対するモラルが問われる。
昨年秋にも、喜多方で議論を行ったが、終わりにある女性が言った。「これって自由民権運動よね。」
会津電力の設立の話もあるが、最後の議論をしていきたい。

飯田)僕は、福島と原発には縁がある。
まずは、長州生まれなんだよね(笑)。福島に入るときは、いつも緊張感を覚える。
先の佐藤栄佐久知事とは、十数年来の付き合いがあって、震災前にも山口で講演してもらった。山口は原発建設で揺れている。その際に、栄佐久さんからは「浜通りを見てもらえばよく判る。原発を選択した街がいかに貧しくなっていくか」と語った。
原発との関係は、僕は元々、原発関連企業の技術者だった。福島第一原発の設計にも関わっている。僕の前半生への罪滅ぼしもあり、福島の皆さんには、ささやかながらお力になりたい。
3.11は、日本史及び世界史の転換点となる。
安倍政権は、参院選までうまくやりすごしたら、原発問題を流してしまおうと考えている。しかし、これは世界の潮流には逆行するものだ。
世界的に大きな変化が訪れている。自然エネルギー推進にあたり、福島が大きな柱になる。

赤坂)グリーン金融を会津でも展開しなくてはならないと思うが。

末吉)僕は薩摩なんだけど(笑)、皆さんの力になろうと思って話している。
今日の話は、全て政府主導じゃない。皆さん自身が主役である。
グリーン金融は、社会からのプレッシャーを受けて銀行が変わった。預金者が声を上げたという点で画期的。今までは無かった。銀行は、それを社会の声だと受け止め、変わっていった。それが経営に有利と判断した。銀行も社会の一員である。
銀行は、大きなパワーを持っているが、パワーの源は皆さん自身である。福島で集めたお金は、福島で使おう。福島を今後どうしたいのか? そのために金融には、どうしてほしいのか? よく考えてほしい。

赤坂)昨年の集まりのときに、三島町の若者三人が「会津自然エネルギー研究会」というのぼりを立ててやってきた。みんな、笑ったんだけど、「小水力やりたいんだ」と真剣な顔で言う。そういうパワーが必要なんだと思う。
さて、こういう事業を進めようとすると、どうしても補助金だのみの話になる。その辺の問題点について。

飯田)大きな問題は、補助金を出す側の意図に合わなくちゃいけない、っていう点。そのため、非常に歪んだものになる。補助金を出す側っていうのは、国の役人なんだけど、彼らは数年で異動する。なので、本質を理解しているとは言い難い。
今まで、行ってきた事業でうまくいっているところは大変少ない。バイオマスニッポンでやった事業は9割失敗しているし、小水力発電事業では、常水の無い所に設置された事例もある。
事業を行うにあたっては、自分たちの頭で考えて作るのが大切。僕たちが北海道で進めた風力発電は、補助金を使わず全て民間資金でまかなった。
2010年、世界において自然エネルギーが原発を超えた。
自然エネルギーは、小規模分散にならざるを得ない。中国地方の統計では、2900もの自然エネルギー関連会社が立ち上がった。うち、9割は東京の子会社なんだけど。メガソーラーができても、地域にはお金が落ちない。いかに地元資本でやっていくかが大切。
スウェーデンで、自然エネルギーを進めた教授がいて、はじめ一基目の風車を作った。それが、段々と支持を得て、今では洋上発電まで実現している。そこに至るまでは平坦ではなく、途中、生活保護を受けながらやっていた時期もある。それでもくじけなかったから実現できた。
きれいな真珠も、初めは小さな砂粒。 最初の核となるのが、この場だと思う。

赤坂)誤解を恐れずに言うと、震災が起こったのが2011年で良かった。
あと、10年早かったら、僕たちは選択肢をあまり持っていなかった。 今は、自然エネルギー、金融の民主化という選択肢を得ている。
この二人は薩長なので、福島に借りを返してもらわなきゃならない(笑)。

末吉)今までのやり方が通じなくなってきている。
中国人民日報の記事に、三高経済というのがでていた。高汚染、高エネルギー消費、高負荷(環境への)である。その論調で、大気汚染は中国の恥だ、と言っている。
中国深セン市で、国際都市になるには、という会議があり、出席した。その中で、政府高官が、大気汚染や反日デモを批判的に述べており、今後は国民目線に立ったソフトが大事だと語った。
北京市の大気汚染はひどくて、すぐ目の前がかすんで見えるくらい。北京市では汚染濃度を発表しているが、その数値は低い数字となっていて、現実と乖離していた。アメリカ大使館が、敷地内の大気汚染濃度を発表し始めたら、それは現実と合った高い数字になっている。北京市も現実の数字を出し始めた。
中国の高度成長は、壁にぶち当たったが、それは世界がかつてぶつかった壁であり、日本は解決策を持っている。
3.11では、多くの人が過去を否定された気になった。この50~60年で築いたものは何だったんだ。
今後、ちゃんとした価値観で、ちゃんとしたものを創って欲しい。
3.11では、米国民は日本人の落ち着いた態度に本当に驚いた。日本人の普通の人は本当に素晴らしい。だけど、何故あんな三流の政治を許しているんだ?

赤坂)東京あたりでは、既に風化が始まっている。しかし、福島はもう原発事故を無かったことにはできない。福島こそが未来を語れる。

飯田)今年の3.11に向けて日本中、世界中の革命家たちを集めて、何かやりたい。

赤坂)東山温泉あたりでね(笑)。始まっていく動きをみんなで創り上げていきたい。

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