2019年9月22日 (日)

THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本

THIS IS JAPAN
英国保育士が見た日本


ブレイディみかこ/著
太田出版/2016

イギリスの労働者階級が多く住む街ブライトンで保育士をしている著者、
ブレイディみかこ氏によるルポ。
こういうルポをやらせるとブレイディみかこさんは上手いなあ。
滅法面白い。
面白いだけでなく、物事の本質を深く掘り下げ、考えさせてくれる。

賃金未払いになっているキャバ嬢、
弱体化した社会運動、
低賃金の保育士、etc...
一億総中流の言葉の裏で、
全体的に地盤沈下し貧富の格差が広がっている日本の現状を
イギリスと対比しつつ繰り広げる著者のルポは、
底辺に住む人びとの肉声を鮮やかに伝えてくれる。
一方でかすかな光も見える。
新たな形のデモ、
障害者たちが働く企業組合、
反貧困ネットワーク、
自主保育の子どもたちとホームレスのおじいさんとの交流。

目を背けている人が多いけど、日本の状況はどんどん悪化していて、
特に若者たちが犠牲になっている。
自分の頭で考えて、声を上げていくことが必要だな。

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2019年9月 8日 (日)

天気の子

天気の子

新海誠/監督・原作・脚本
醍醐虎汰朗、森七菜/出演
2019/日本

「君の名は。」で注目を浴びた新海誠監督の新作。
ボーイミーツガールをいかに大袈裟な仕掛けでやれるかが新海誠の真骨頂。
今回は異常気象で雨がやまない東京が舞台。
天気を操る特殊能力を持った女の子と家出少年が主人公。
天気を操ることには代償が伴って、さてどうする?

繊細で瑞々しい表現が10代の子には受けるんだろうな。
素直に受け取れなくなっている俺は、おじさんだなあ。

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ライオン・キング

ライオン・キング

ジョン・ファブロー/監督・脚本
2019/米国

ご存知、ディズニーのアニメ「ライオン・キング」が超実写版で蘇りました。
超実写って何?
CGによる実写を超えた迫力の映像。
ストーリーなどは、アニメ版そのもの。
リアルなライオンや動物たちが演技する姿は驚きである。
でも見た目実写そのものの動物が、
ちょっと擬人化された動きをするのは少し違和感があるなあ。


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労働者階級の反乱

労働者階級の反乱
地べたから見た英国EU離脱

ブレイディみかこ/著
光文社新書/2017

全世界を驚かせた2016年6月の英国国民でのEU離脱派の勝利。
海外では「下層に広がった醜い排外主義の現れ」とする報道が多かったが、
英国国内では「1945年以外のピープル(労働者階級)の革命」
と評す向きも多かった。
英国労働者階級の多く住む地域に住んでいる著者のレポート。
グローバル主義と緊縮財政により不満を抱える白人労働者階級の生の言葉と
英国労働者たちの100年の歴史を振り返る。

著者の近著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が
大変面白かったので、他の著書も読んでみることにしました。
エッセイとは違って大変真面目な本だったので、
読むのに時間がかかったのですが、英国労働者たちの100年史が分かり、
大変興味深かったです。
EU離脱派はトランプ嫌いなど、
単純に排外主義とリンクする問題ではないことがうかがえました。
あとがきで紹介されていた
ミュージシャン、ブライアン・イーノの言葉が心に残りました。

「私たちは本当に、もうちょっとこう、他者の立場になって考えてみる、
異なる意見を持つ人間に感情移入してみる必要があるんじゃないか、
そう思うね。
彼らみたいな連中を『人種差別主義者』だの『性差別者』云々の
バカげた呼び名で撥ねつけるのではなくて、
彼らのような存在に注意を払いはじめるべきではないか、と。
だから、『彼らにだって、立派に怒る権利がある』という点、
そこを我々も考えはじめなくてはいけない、ということだね。
というのも、
彼らは現状のシステムに裏切られた側の人びとなわけだから」

 

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2019年7月28日 (日)

ファクトフルネス

ファクトフルネスFACTFULNESS
10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド/著
上杉周作、関美和/訳
日経BP社/2019

著者ハンス・ロスリングは、医師で公衆衛生の専門家でTEDトークの人気スピーカー。
彼は数十年に渡って、あらゆる人々に世界の事実に関する質問を繰り返した。
貧困、富、人口、出生、死亡、教育、保健、ジェンダー、暴力、エネルギー、環境など。
複雑な質問やひっかけ問題はひとつもないのに関わらず、まともに正解できる人は殆どいないという。
我々は、古い知識や偏見、思い込みに基づいて、世界の正しい姿を見ていないのだ。
この本では、その思い込みを10に分けて、どうしてそのような見方が生じるのか、そこから抜け出すにはどうしたら良いか、そして世界の本当の姿はどうなっているのかをデータを基に解説している。
その10の思い込みは以下のとおり。
1.分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
2.ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3.直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4.恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
5.過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
6.パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
7.宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8.単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
9.犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
10.焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

この本を読んで、自分もいろんな思い込みにとらわれていたなあと思い知らされる。
と同時に、世界はそれほど悪くない、と気分も軽くなる。
知識を常にアップデートして、世界を正しく見る習慣をつけたいものである。

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ/著
新潮社/2019

日本人の母、アイルランド人の父を持ち、英国の南端ブライトンという町の荒れている地区に住んでいる息子。
カトリックの名門小学校で優秀だった少年は、中学進学の際になぜか元底辺中学校の公立校を選択する。
そこは、英国社会の縮図が展開する世界だった。

NHKラジオの「すっぴん」で高橋源一郎さんが紹介していたので、気になって買った本。
いつだって、子どもたちは社会の問題点の犠牲者になる。
人種差別やジェンダー、格差問題、大人は直接言わないことも、子どもたちはダイレクトにぶつけて、問題が生じる。
でも、そんな問題も子どもたちは軽々と飛び越える力を持っているのだ。
例えば、人種差別的な発言を繰り返す同級生と文化祭を通じて仲良くなっていく姿など。
子どもたちの言動に考えさせらたり、感心したり、世界の問題を解決するヒントまで得られる。
とても素晴らしい本だと思う。

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線は、僕を描く

線は、僕を描く
砥上裕將/著
講談社/2019

水墨画の世界が舞台となった小説。
主人公の大学生、青山霜介はひょんなことから水墨画の巨匠篠田湖山の内弟子に。
水墨画と無縁の生活を送ってきた霜介と湖山の孫娘千瑛は、水墨画で対決することとなる。

何よりも、文章で水墨画を描ききったというところがすごい。
また、一般には馴染みのない水墨画の世界がユーモラスに描かれています。
両親を亡くし喪失感の中で生きてきた少年という設定は、「3月のライオン」を思わせますが、
水墨画と湖山先生やいろんな人たちと触れあう中で心を溶かしていくところは感動的です。
水墨画を見たくなる小説。

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2019年4月 1日 (月)

若冲展

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伊藤若冲展。
前回2013年に福島県立美術館に来たときには見逃したので、ぜひ見たい。
早速、家族3人で観に行きました。

若冲は、江戸中期の画家。
水墨画から始まり、最先端の画材やいろいろな紙など用いて、新しい表現を追い求めました。
今見ても斬新な表現が多々見られます。
例えば、
ルーペを使わないと分からないような細密な表現や、小さな四角の舛を組み合わせて描いた絵(モザイク的な表現)など。
いやあ、すごい。
最先端すぎて、当時の人には理解されなかったのではないか。

すごい技術もさることながら、軽やかな水墨画なども実に趣き深い。
よく、西洋絵画などでは、代表作はすごいけど他の作品はちょっとということが少なくない。
でも若冲は、軽く描いたであろう作品も実に素晴らしいのである。
何が違うのかなと考える。
一つには、日本画の特性があるのかな。
水墨画をはじめ、日本画には余白が多い。
必要最小限の筆致で、世界を表現する。
余白は観る人の想像力で補うのである。
よって、軽やかに描いた作品でも観る人の脳裏には鮮やかな世界が広がるのではないか。
もちろん、必要最小限の筆致で描くからには、どれを取捨選択するかというセンスと技術が必要。
あと、ユーモアもね。

前後半で作品が違うようなので、後半も観にいかねば。

 

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2018年11月11日 (日)

ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ

監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック/ベン・ハーディ
2018/米国

伝説のロックバンド、クィーン。
その結成から成功、解散の危機、そして伝説のライブまで。
ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの光と影。

クィーンは、父ちゃんたちのちょっと上の世代。
終わりの頃をかろうじてリアルタイムで知っているかなくらい。
でも、生み出した名曲の数々は耳にしていて、好きなアーティストです。
映画で流れる楽曲に心震えます。
特に最後のライブシーンは圧巻。
涙が止まりません。

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2018年9月30日 (日)

プーと大人になった僕

プーと大人になった僕

監督:マーク・フォスター
出演:ユアン・マクレガー/ヘイリー・アトウェル/ジム・カミングス
2018/米国

クリストファー・ロビンが大人になりました。
プーさんたちのことは遠い記憶の彼方、
仕事に忙しく家庭をおろそかにするビジネスマンになっています。
一方、プーさんたちのいる100エーカーの森で異変が。
プーさんが大人になったクリストファーに助けを求めます。
クリストファー自身も会社の問題で大変な最中。
子どものころ、クリストファーとプーさんが大好きだった「何もしないこと」。
そのことを思い出すと、物語は意外な方向へ。

忙しい現代人。
ちょっと歩みを止めて、「何もしないこと」をしてみては。
ほっとする映画です。



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