2021年1月10日 (日)

JR上野駅公園口

JR上野駅公園口

柳美里/著
河出書房新社/2014

全米図書賞受賞作品。

読了したけど、消化しきれずにいる。

主人公は南相馬出身のホームレス。
彼はずっと出稼ぎで東京に出てきていて、
殆ど家族と一緒の時間もないまま息子と妻に先立たれ、
孫娘と一緒に暮らすも、
孫娘に世話になるのが苦になって再び東京に出てきて、
ホームレスになった。
上野公園のホームレスたちは、
たびたび「山狩り」と呼ばれる特別清掃のために
居住空間を追われる。
そして、3.11。

ホームレスたちの知られざる日々。
南相馬の表に出ない過去。
著者は、居場所がない人たちの思いを丹念に汲み取って綴っている。

もう何度か読まないと。

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2020年10月10日 (土)

ホモ・デウス

ホモ・デウス(上・下)
テクノロジーとサピエンスの未来

ユヴァル・ノア・ハラリ/著
柴田裕之/訳
河出書房新社/2018

人類の未来について考察した本。
ホモデウスもデータ至上主義も嫌だなぁ。
でも、現状はそっちに向かっているように見える。
非効率でも人間至上主義の世界で死にたい。

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非常時のことば 震災の後で

非常時のことば 震災の後で

高橋源一郎/著
朝日新聞出版/2012

著者が雑誌で連載していた文章教室を取りまとめた本。
「あの日」以降、明らかに文章が変わったと言う。
何が変わったのか?
みんな、心の内に死者を抱えるようになった。
そんな時に相手に届くことばは、大きな声でなく、小さな声。

「あの日」から9年経った。
復興のスピードは様々。
大きな声にのまれがちになるけど、小さな声に耳を傾けることを忘れずにいきたい。

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弱さの思想 たそがれを抱きしめる

弱さの思想 たそがれを抱きしめる

高橋源一郎+辻信一/著
大月書店/2014

雑の思想より、前に刊行された本。
人類は、強さを求めて発展してきたけど、その過程で多くを切り捨ててきた。
障がい者、女子供、高齢者、過疎地、引きこもりetc...
でも、ちょっと弱さに寄り添ってみると、そこには実に豊かな世界が広がっている。
強さを求める世界が制度疲労を起こしている現在、弱さを見つめ直すのは如何?

 

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シンゴジラ再見

シン・ゴジラ

監督・特技監督/樋口真嗣
純監督・特技統括/尾上克郎
脚本・編集・総監督/庵野秀朗
出演/長谷川博己・竹野内豊・石原さとみ
日本/2016

ネット配信で再見しました。
ゴジラによって瓦礫と化した街並み。
右往左往する日本政府。
避難所。
これを機に影響力を強めようとする米国。
放射能汚染。

東日本大震災をリアルに思い出す場面満載。ちょっと観ていて辛い。
でも救いなのは、オールジャパンの力でゴジラを封じ込めること。
エンターテイメントの文脈を外さずに、日本をこれだけ描ききってすごいなぁ。
当時の日本って、どうだったの? と訊かれたとき、この映画を観ると分かるよ、と言える映画だと思う。

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2020年7月22日 (水)

「雑」の思想

「雑」の思想
世界の複雑さを愛するために

高橋源一郎+辻信一/編
大月書店/2018

私の好きな二人、高橋さんと辻さんによる共同研究。
テーマは「雑」。
昨今の世界は、グローバリズムだの、効率化だの、ものごとを単純化していこうとする方向に向かっている。
「雑」は、それに対する異議申し立て。
世界の複雑さを複雑なまま理解しよう、という取り組み。
それは、森羅万象、身の回りのことから政治経済まであらゆる分野に及ぶ。

そうだよな。
単純化しようとすると、どうしても歪みが生じるよな。
偏見を持たずにまっさらな目でものごとを見れるように心がけたいものである。

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ワイルドサイドをほっつき歩け

ワイルドサイドをほっつき歩け
ハマータウンのおっさんたち

ブレイディみかこ/著
筑摩書房/2020

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の
ブレイディみかこ氏の新著の主人公は、おっさんたち。
イギリス労働者階級のおっさんたちの物語。
おっさんたちを描きながら、
イギリスの社会的背景も克明に描かれる。
ミクロとマクロを行ったり来たりするのが、実にうまい。
ワイルドで頑固でEU離脱に投票して、
若者たちの反発をくらってたりするけど、
でも、みんな愛すべきおっさんたちなのだ。
おっさんたち、最高!
ブレイディ氏の眼差しは、とても温かい。

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2020年7月12日 (日)

薪を焚く


薪を焚く
ラーシュ・ミッティング/著
朝田千惠/訳
晶文社/2019

昨年出版された本ですが、最近読了しました。
名著です。
薪に関するあらゆることが深く、愛情たっぷりに記されています。
読み物としても秀逸ですが、実用書としてもとても役立ちます。
薪びとの皆さん、ぜひ御一読を。

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2020年7月 5日 (日)

国運の分岐点

国運の分岐点
中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか

デービッド・アトキンソン/著
講談社+α新書/2019

GDP世界第3位の日本。
でも、生産性(一人あたりのGDP)は28位。
1990年には9位だったのに、どんどん下がり続けて先進国最低となっています。
日本は、先進国の中で唯一経済成長していない。
また、デフレからいつまでも脱却できない。
給料は下げり続ける。
みんな、貧困にあえいでいます。
一体何故?

この20年、様々な金融政策がとられましたが、一向に解決していません。
日本は人口減少の局面に入っています。
これまで、人類は人口増が当たり前で、人口減少を経験していません。
これまでの経済学も、人口増が前提となっているため、通用しなくなっているのです。
生産性28位の日本より低い主要な国は、韓国、スペイン、イタリアなど。
みんな、少子化が進んでいる国です。

少子化が進むと、当然一人あたりの社会的費用の負担額は大きくなる。
それを支えるには、生産性を向上させないと社会がもたない。
「賃上げ」が必要なのだ。

しかし、日本にはそれを阻む大きな要因がある。
中小企業が多すぎるのだ。
一般的に、企業の規模が小さいほど生産性が小さい。
こうなったのは、1964年、OECD加盟がきっかけとなっている。
資本の自由化が始まったとき、植民地支配の恐怖から、中小企業を手厚く保護する護送船団方式を取った。
これにより、中小企業は爆発的に増加。
戦後、増え続ける労働者の受け皿となった。

でも、今は人口減少社会。
1964体制は、足かせとなっている。

また、日本には特有のリスク「地震」がある。
南海トラフ・首都直下型地震は、必ず起こる。
大きな災害は、社会が抱える諸問題を一気に最悪の形で顕在化させる。
最悪のシナリオは、地震が起きてボロボロになった日本を中国が買いまくり、日本は中国の属国になる。

一刻の猶予もない。
日本政府は、1964体制に決別し、最低賃金をすぐに引き上げるべきだ。

というのが著者の主張。
中小企業は好きだけど、著者の分析は腑に落ちる。
シングルマザーや非正規雇用、昔よりみんな貧乏になっていると感じる。
最低賃金引き上げは、すぐにやって欲しいなあ。


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2020年1月24日 (金)

「ふつうの子」なんて、どこにもいない

「ふつうの子」なんて、どこにもいない

木村泰子/著
家の光協会/2019

本書を読んで大きな驚きを深い感動を覚えた。
公立小学校でこんなことができるのか。
著者は大阪市立大空小学校の初代校長。
他の学校では、特別支援の対象となる子どもたちや問題児も一緒に学んでいる。
当然、様々な問題が起こるが先生や子どもたち、そして多くのサポーターたち、みんなでその問題に取り組む。

最近、ダイバーシティ(多様性)だ、国際社会に対応する人材だ、などと叫ばれているけど、
それとは裏腹に、相変わらず日本社会は同調圧力が強く、一定範囲から飛び出た人間を排除する傾向がある。
その歪みが最も顕著に不幸な形で出たのが、やまゆり園の悲劇であろう。

大空小学校の取組みは、日本社会への異議申し立てである。
ぜひ、全国に広がってほしい。

見てないけど、大空小学校の一年を追った
映画「みんなの学校」のリンクはこちら。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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